単機能を拡張し、総合業務管理ツールへ 株式会社すずまる様
ワープロベースのツールでスケジュール管理が煩雑
情報番組の制作などを手がける株式会社すずまる様
お仕事の流れは次のとおりです。
放送局から番組ごとに、いつ・どこに・スタッフ何名、という依頼が入り、その都度、スケジュールの合うスタッフをアサインしてスケジュールを組みます。しかし、依頼内容が急に変更になり、時間や人数を調整し直さなければならないことが多々あります。
同社はこれまでワープロソフトで月単位のスケジュールを組み、紙に印刷して各社員に配布していましたが、変更の度に配布されるためほぼ日刊になり、ミスが重なり、スケジュール変更がスタッフに正確に伝わらず、クライアントに迷惑をかけてしまうこともありました。
そこで、この状態を解決するために注目したのが、FileMakerです。もともと同社はFileMaker Pro をバージョン4の頃から、業務報告書の管理ツールとして活用していて、現場の業務内容やクライアントからの要望、課題や改善点などを記録し、今後の業務遂行の参考にしていました。
この管理ツールを、スケジュールも含めた業務全般を管理するものにする構想を立て、弊社に相談いただきました。
複雑な連携処理に対応。業務の統合管理を実現
まず開発の準備として、約3カ月かけて業務の受注からスケジュール管理、業務をクローズするまでのワークフローを分析しました。
その結果、業務の受託管理、スケジュール管理、業務引継ぎ報告書などをリンクさせた“統合業務管理ツール”を設計しました。
業務の受託管理について
電話で受注した業務内容を入力して受注伝票を生成すると、自動でスケジュール管理表にも登録。アサインするスタッフは、集計された勤務時間概算を見ながら手動で調整します。また、社員や番組名などから報告書を呼び出し、過去の実績や評価をもとにスタッフをアサインすることも可能にしました。
スケジュール管理について
FileMakerで作成したスケジュール表は、A3用紙に収まるサイズでPDFファイルに出力。標準は業務単位だが、担当者別の業務やスケジュールの一覧表示も可能です。
運用スタイルは、管理表をプリントアウトし、各スタッフに配布するという従来のやり方を踏襲しました。現場での作業が多いので直行直帰になりがちのため、紙の管理を残して出社してもらい、会社への帰属意識を高めたいという狙いがあります。
今回開発したツールの受注伝票の部分は株式会社すずまる様が作成したもので、それを弊社が組み込んで、“統合業務管理ツール”として仕上げました。
受注伝票の部分を開発した株式会社すずまる須田氏は、
「FileMakerは独学で勉強しましたが、専門の知識がなくても使いこなせるユーザーフレンドリーなツール。バージョンアップにも連続性があるので、これまでの知見やノウハウを活かせます」と語られています。
FileMakerは互換性が高く、バージョンの異なるファイル←意味合ってますか??の受け渡しが可能なため、分業も行いやすいツールです。フィールド定義もわかりやすいので、複雑な連携処理も、問題なく進めることができました。
事務作業の効率化に加え、業務の質の向上にも貢献
FileMaker による“統合業務管理ツール”は、社内にさまざまな効果をもたらしました。
スタッフのスケジュール管理の精度が高まる
以前は、直近のスケジュール表でスタッフの状況を確認していたので、各スタッフの勤務時間まではわからないため、特定の人に仕事が偏ってしまうこともありましたが、現在は、スタッフのスケジュールや勤務状況の一覧に切替えができるので、誰が・いつ・どんな仕事を持っているかがすぐにわかるうえ、直近の勤務時間の概算も表示可能なため、ダブルブッキングや仕事の偏りも解消されました。
伝票処理など事務作業の効率化
以前は受注した業務とスケジュール管理は別々に行っていましたが、今回開発したツールによって、どの業務に、誰が、どれだけ従事したかが容易に把握できるようになりました。それを確認すれば、請求書の作成業務も間違いなく行うことができます。
また、給与計算について、今までは毎月の勤務時間は出勤簿勤務表をもとに手集計を行っていましが、現在はFileMakerでスタッフ別に出勤簿の勤務時間を蓄積し、集計することで直近の累計勤務時間がすぐに把握できるようになりました。
この改善により、集計作業が不要になり、計算ミスもなくなり、給与計算の作業の負荷が軽減されました。
仕事の質の向上・顧客満足度の向上
スタッフをアサインする際、スケジュールや勤務時間のほかに、過去の業務引継ぎ報告書も確認可能になりました。そのため、以前に同じ番組や類似の番組制作の経験があるスタッフを割り当てることができるようになりました。
経験のあるスタッフなら仕事の段取りやポイントも把握しているので、業務のクオリティが向上します。
今後も、業務管理ツールをより使いやすく、さらに便利なものにしていくため、適宜見直しを図っていく予定です。
現在は会社への帰属意識を持ってもらうため、スケジュール表を会社に取りに来てもらうスタイルにしていますが、将来的にはこの業務管理ツールへの入力や閲覧をモバイルでも実現することも検討中です。
「例えば、FileMaker Goを使えば、iPadなどのタブレット端末を使って、外出先でも最新のスケジュールを確認できます。今後はこうした利便性を高める仕組みを積極的に取り入れていきたいですね」(株式会社すずまる 須田氏)
※この事例は、2012年にFileMakerのWebサイトで開発事例として紹介されました。